その時、僕は懸垂をしまくった
イントロ
なんでだろう。懸垂しまくったなぁ。
時は2010年代。貧弱デブ男は懸垂に励んでいた。
別に健康になりたかったわけでもなんでもなく、そこに懸垂器具があったからなんとなくぶら下がっただけであるが・・。
浪人という厳しい環境の中で、寮の1階には簡易的なトレーニング空間があった。置いてあったのものの中で一番目立ったのが、この懸垂器具だったのだ。
その後
貧弱デブ男はその後、食事制限が功を奏したのか少しまともな体型になった。それでも懸垂を続ける。時間は決まって、消灯後かもしくは10時付近であった。
そのうち暇を持て余した寮生何人かが、夜な夜な集合することになる。実は誰かがコッソリ寮に引かれていた回線を無線LANにしたのだ。だから1階はWifi難民のたまり場に自然となった。
そこで、Youtubeを聞きながら、またしても懸垂する自分がいた。
今考えれば、どう考えても鬱に近かった気がする。途中からは勉強も何もかもできなくなって、でも懸垂だけは何故かしていた。(それと何故か友人が僕の部屋に持ち込んだ「人をダメにするソファ」に一日寝っ転がっていた。)
そのうち、痩せたはずなのに、自堕落な生活が続いて、ほとんど体型が元に戻ってもだ。
よくわからん
一体あの浪人生活はなんだったのだろうか。今でも時々思う。大阪の中心だったから楽しいことも多かった。いやむしろ遊んでばっかりだったような気もする。書いていいのか悩むことすら多い。(前期はお手本のような勉学学生だったのだけれど)
結局その年は夢叶わず、退寮したが、何年か経った後でも時々挨拶に行くようにしている。寮長寮母にお世話になったからだ。そして、、またしても懸垂する自分がいる。別に好きじゃないのに。
その器具は自動販売機の目の前にあるのだ。今はもうどうなっているか知らない。たぶん当時のあのままであるんだろう。そもそも浪人生のどこのどいつがあんな懸垂器具を使うのか甚だ疑問だが。
思い出
だから僕の浪人一年目の記憶というのは、懸垂と友達がよく昼間に出前で頼むドミノピザとココイチのカレーが鮮烈に残っている。というかそれしかないもはや。
勉強に苦しんだ思い出も、何もかも。センター試験と二次試験は絶望的だった気もするが、それも記憶が定かでない。
懸垂してなにか良かったこともない。今は全くしない。オチもクソもない。ただ懸垂しただけの男があの時いただけだった。